今までに読んだ統計の本を一挙紹介

2023-03-12

主観に基づいて、機械学習関連の本は挙げていません。

データ解析のための統計モデリング入門

データ解析のための統計モデリング入門
  • リンク: 岩波書店
  • 著者: 久保 拓弥
  • 出版時期: 2012/05

通称「緑本」ですね。GLM から GLMM、階層ベイズモデルへとステップアップしていくので、深い納得感が得られます。とってもおすすめです。 このステップを Julia で辿る記事を本ブログでも書いています (Julia で GLMJulia で GLMMJulia で階層ベイズモデル)。

A/Bテスト実践ガイド

A/Bテスト実践ガイド
  • リンク: ASCII
  • 著者: Ron Kohavi、Diane Tang、Ya Xu
  • 訳者: 大杉 直也
  • 出版時期: 2021/03

統計学は理論よりも実践することのほうが何倍も難しいですが、これは A/B テストの実践面についてだけにフォーカスして書かれた本です。メインの指標の他にガードレールメトリクスを用意することや、 A/B テストのためのシステムをデバッグするために A/A テストを実施することなどは、理論面だけの本を読んでいても得られないポイントだと思います。

効果検証入門

効果検証入門

因果推論の入門書です。回帰分析や傾向スコア、DID、RDD について書かれています。各手法の考え方や必要な条件を説明した上で、R で具体例の分析を行っています。1 冊目に良い本だと思います。

政策評価のための因果関係の見つけ方

政策評価のための因果関係の見つけ方
  • リンク: 日本評論社
  • 著者: Esther Duflo、Rachel Glennerster、Michael Kremer
  • 訳者: 石川 貴之、井上 領介、名取 淳
  • 監訳者: 小林 庸平
  • 出版時期: 2019/07

ノーベル経済学賞を受賞した Esther Duflo 氏の著作の翻訳版で、氏の研究をもとにしたフィールド実験の手引きです。デジタル庁でも EBPM を進める動きがあり (EBPM 推進委員会)、個人的にはホットな話題です。最後には EBPM 推進委員会にも出席されている小林庸平氏の解説もあり、密度の高い内容になっています。

データ分析の力 因果関係に迫る思考法

データ分析の力 因果関係に迫る思考法
  • リンク: 光文社
  • 著者: 伊藤 公一朗
  • 出版時期: 2017/04

経済学者による因果推論の本です。縦書きの新書なので読み物としてちょうどよい本です。一方で集積分析のような他の本では見たことがなかった手法も紹介されており、勉強になりました。単に手法を解説するだけでなく、ビジネスや政策形成に生かす上での重要事項や実例も取り上げられています。

政治学と因果推論

政治学と因果推論
  • リンク: 岩波書店
  • 著者: 松林 哲也
  • 出版時期: 2021/11

因果推論の各種手法がどのように政治学に適用されるのかを知ることができる本です。政治学にも因果推論が使われているんだというのをこの本で知りました。例がたくさん載っているのでとても参考になります。 例えば台風の投票率に与える影響を、回帰分析で特定する研究例が論じられています。他にも RDD や IV、DID の適用例が紹介されています。

岩波データサイエンス Vol. 3 (特集: 因果推論)

岩波データサイエンス Vol. 3
  • リンク: 岩波書店
  • 著者: 岩波データサイエンス刊行委員会
  • 出版時期: 2016/06

因果ダイアグラムやポテンシャルアウトカムなど、因果推論とは何なのかを説明するトピックもあれば、「ノーアウト 1 塁のバントは得点確率を高めるか」のような身近な話題も載っています。因果推論に登場する概念を浅く拾うには小粒で良い本だと思います。

統計学を哲学する

統計学を哲学する

なぜ統計学が科学の根拠になりえるのかが哲学の言葉を使って解説されています。古典統計からベイズ統計、因果推論もカバーしています。統計学を実践していると、なにが正しいのか迷子になることがあります。そんなときはこの本を読み返し、統計学における推論の枠組みを振り返るのが良い処方箋になります。統計学を実践する人全員に読んでほしい本です。

統計学が最強の学問である

統計学が最強の学問である

統計学を知らない人が、統計学の重要性を知るのに良い本だと思います。数学編やビジネス編などの続編も出ているので、さらに詳しく知りたくなった人はそちらを読みすすめることもできます。

統計分布を知れば世界が分かる

統計分布を知れば世界が分かる
  • リンク: 中公新書
  • 著者: 松下 貢
  • 出版時期: 2019/10

現実世界の現象を正規分布と対数正規分布、べき乗分布の 3 つの分布を駆使して読み解いていく本です。多様な例を通し、普段触れることが少ない対数正規分布が身近に感じられるようになりました。

新版 統計学のセンス

新版 統計学のセンス
  • リンク: 朝倉書店
  • 著者: 丹後 俊郎
  • 出版時期: 2018/11

データ分析をする上で間違いやすい点について、医学統計をベースに様々な話題が載っています。各題材はすべて医学に関するものなので、設定を把握するのが少し難しいです。しかし他の分野にも通ずるポイントが書かれているので、参考になる部分も多いです。一通りの統計ツールを身に着けた上で読むのが良さそうですね。

臨床研究 21 の勘違い

臨床研究 21 の勘違い
  • リンク: 医学書院
  • 著者: 福原 俊一、福間 真悟、紙谷 司
  • 出版時期: 2021/11

「横断研究は欠陥だらけ?」のような臨床研究固有の勘違いだけでなく、「p 値が小さいほど、効果が大きい?」などの統計一般の勘違いについても解説されています。 各題材が、リサーチクエスチョンを PECO の形に構造化するところから始まります。このプロセスは他の分野にも適用できそうです。

消費者心理学のための統計学

消費者心理学のための統計学
  • リンク: 誠信書房
  • 著者: 齋藤 朗宏、荘島 宏二郎
  • 出版時期: 2022/09

テレビの魅力を決める要素は何か、どんな商品が一緒に買われているか、など消費者心理を分析するための統計学が紹介されています。かなり基本的なところから解説されています。