税
所得税
所得税はざっくり言うと次のように計算される。
所得税 所得の合計 所得控除 税率
かっこの中身を所得という。
所得の合計
参考: 総合課税制度
ひとつめの所得の合計とは、以下の8つの合計のこと。
1.利子所得 1.配当所得 1.不動産所得 1.事業所得 1.給与所得 1.譲渡所得 1.一時所得 1.雑所得
ここではメインの所得であろう給与所得について説明する。給与所得とは次で計算されるものである(参考: 給与所得)。
給与所得 給与収入 給与所得控除 特定支出控除
給与収入というのはその名の通り、会社から支払われる給与額のことである。
給与所得控除とは、事業所得などのように必要経費を差し引くことができない代わりに所得税法で定められた控除のこと。給与収入を 万円としたとき、給与所得控除 は大まかに以下のように計算できる(参考: 給与所得控除)。
2019年まで(参考: 別表第五 年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表)
給与収入 | 給与所得控除 | 給与収入 - 給与所得控除 |
---|---|---|
2020年から(参考: 所得税改正のあらまし)
給与収入 | 給与所得控除 | 給与収入 - 給与所得控除 |
---|---|---|
特定支出控除とは、6つの特定の支出が基準額を超えた場合に、所得金額から差し引くことのできる控除のこと(参考: 給与所得者の特定支出控除)。
その6つの支出とは次の通りである。
1.一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出(通勤費)。 1.転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出(転居費)。 1.職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出(研修費)。 1.職務に直接必要な資格を取得するための支出(資格取得費)。 1.単身赴任などの場合で、その者の勤務地又は居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出(帰宅旅費)。 1.次に掲げる支出(その支出の額の合計額が65万円を超える場合には、65万円までの支出に限ります。)で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者より証明がされたもの (勤務必要経費)
- 書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するものを購入するための費用(図書費)
- 制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用(衣服費)
- 交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出(交際費等)
上記6つの支出の合計額が、その年の給与所得控除額の半額を上回った場合、その超過額の分だけ控除できる。
ただしこの控除を受けるためには、給与の支払い者が上記の支出を証明する必要があり、且つ確定申告をする必要もある。
所得控除
所得控除は各納税者の個人的事情を加味しようとするためのもの(参考: 所得控除)。
以下のような控除がある。
控除の種類 | 控除額 | 申請方法 |
---|---|---|
基礎控除 | 2019年までは38万円. 2020年以降は48万円。 | なし。 |
医療費控除 | 支払った医療費の合計から以下の2つを差し引いた金額. ・保険金等で補填される金額. ・ 10万円、総所得金額等の5% | 医療費控除の明細書を作成して確定申告書に添付 |
社会保険料控除 | 支払った保険料全額(厚生年金や雇用保険も含む) | 保険料金額を証する書類の提出 |
他にも扶養控除や配偶者控除がある。医療費控除に登場している総所得金額等とは、ほとんどの人にとっては上に出てきた所得の合計のこと(参考: 総所得金額等)。
税率
所得 (万円) に対し所得税 (万円) は以下のように計算される(参考: 所得税の税率)。
所得 | 所得税 | 所得 - 所得税 |
---|---|---|
復興特別所得税
平成23年12月2日に東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律第117号)が公布され,「復興特別所得税」及び「復興特別法人税」が創設された(参考: 個人の方に係る復興特別所得税のあらまし)。
計算式は以下の通り。
復興特別所得税 基準所得税額
住民税
住民税には一律で徴収される均等割と、収入によって定まる所得割がある。
京都市における計算方法(参考: 総合課税の税率)。
住民税 | 均等割 | 所得割 |
---|---|---|
市民税 | 円 | |
府民税 | 円 |
ただし所得割は前年の所得額に税率が掛けられる。ここでいう所得額は、所得税のように所得の合計から所得控除を引いた金額のこと。所得の合計は所得税と同じだが、所得控除には違いが存在する(参考: 所得控除)。
たとえば医療費控除額は次のどちらかを選択できる。ひとつめは所得税と同一のものだが、場合によってはふたつめのほうが得。
- 医療費総額 補填額 10万円、総所得金額等の 。最高200万円。
- スイッチOTC医薬品等購入費 補填額 1.2万円。最高8.8万円。
そして基礎控除額は33万円である。
住民税は上記で計算された金額から、調整控除というものが差し引かれる(参考: 調整控除)。所得を (万円) としたときの控除額 (万円) は以下の通り。
ただし は人的控除額の差の合計のこと。上で所得税と住民税では所得控除額に違いがあるといった。その中の人的な控除額(勤労学生控除や配偶者控除、扶養控除など)の合計額である。これには基礎控除の差額も含まれる。
保険
健康保険
健康保険や厚生年金保険の保険料は標準報酬月額と標準賞与額の和に保険料率をかけた金額を会社と折半し、毎月納付する。保険料率は都道府県によって異なる。
標準月額報酬と標準賞与
参考
標準月額報酬は4、5、6月に支払われた報酬額の平均値。ただし支払い日数が17日以上の月だけを計算に用いる。この金額はその年の9月から翌年の8月まで使われる。
標準賞与額は支給回数が年3回以下の賞与から千円未満を切り捨てた額。支給される月ごとに決定される。年4回以上の賞与は標準月額報酬の計算の対象となる。
保険料率
健康保険の保険料率は保険者の種類によって異なる。保険者は全国健康保険協会(通称: 協会けんぽ)と健康保険組合に大別される。健康保険組合の例としては 関東ITソフトウェア健康保険組合 などが挙げられる。
協会けんぽにおける保険料率は都道府県ごとに定められている。京都府における平成31年4月からの保険料率 である(参考: 健康保険・厚生年金保険の保険料額表)。関東ITソフトウェア健康保険組合における保険料率は である。
厚生年金は一律で である。
雇用保険
その月の報酬額に保険料率を掛けたものを労使それぞれで負担するが、事業主のほうが多く支払う。
平成31年度の雇用保険料率は以下の通り(参考: 平成31年度の雇用保険料率)。
労働者 | 事業主 |
---|---|
労災保険
事業主だけが支払う。
ふるさと納税
自治体に寄付をすることで所得税と住民税に対し控除を受けられる制度。控除を受けるためには確定申告するかワンストップ特例制度を使うかのどちらか。その違いは以下の通り(参考: )
・ | 確定申告 | ワンストップ特例制度 |
---|---|---|
寄付先の数 | 制限なし | 5つまで |
申請方法 | 確定申告時に寄付金受領証明書を提出 | 寄付の度に自治体に申請書を提出 |
控除項目 | 住民税と所得税 | 住民税のみ |
控除額
参考: 税金の控除について
所得税
控除の対象となるふるさと納税額は総所得金額等の が上限。控除額は以下で計算される
所得税からの控除額 ふるさと納税額 円 所得税率
ただし所得税率は、復興特別所得税の税率を加えたものを使う。
住民税
住民税からの控除は基本分と特例分に分かれる。
基本分は以下で計算される。ただし控除の対象となるふるさと納税額は総所得金額等の が上限。
基本分 ふるさと納税額 円
特例分は以下で計算される。
特例分 ふるさと納税額 円 所得税率
ただしこれが住民税所得割額の2割を超えた場合は、以下を特例分とする。要はこれら2つの小さいほうが特例分である。
特例分 住民税所得割額